10月になり暑さも落ち着いてきましたが皆様いかがお過ごしでしょうか?
みそら税理士法人 奥田です。
今回は中小企業投資促進税制における「税額控除」と「特別償却」の使い分けについて記載させていただきます。
目次
中小企業投資促進税制とは
機械装置等の対象設備を取得や製作等をした場合に、取得価額の30%の特別償却又は7%の税額控除(税額控除は、個人事業主、資本金3,000万円以下の法人が対象)が選択適用できるものです。
事業をしていくにあたり、設備投資はどうしても必要となります。
設備投資をすると業務の効率化等さまざまなメリットがありますが、同時に資金面での負担という大きなデメリットもついてきます。
この制度を利用することで税負担を軽減し、資金面の負担を抑えることができます。
対象要件は下記の通りです。
【対象者】
・中小企業者等(資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等)
・従業員数1,000人以下の個人事業主
【対象業種】
製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業については生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る。)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、通信業、損害保険代理業及びサービス業(映画業以外の娯楽業を除く)、不動産業、物品賃貸業
※性風俗関連特殊営業に該当するものは除く
【対象設備】
・機械及び装置(1台160万円以上)
・測定工具及び検査工具(1台120万以上、1台30万円以上かつ複数合計120万円以上)
・一定のソフトウェア(一のソフトウェアが70万円以上、複数合計70万円以上)
・複写して販売するための原本、開発研究用のものサーバー用OSのうち一定のものなどは除く
・貨物自動車(車両総重量3.5トン以上)
・内航船舶(取得価格の75%が対象)
税額控除とは
対象となる資産の取得価格の7%相当額を「法人税額」から「控除」=「減額」できる制度です。
ただし、調整前の法人税額(その他の税額控除等反映前の税額)の20%が上限となりますのでご注意ください。
【メリット】
支払うべき税金の削減(永久的な節税効果)
通常の減価償却もできるため、長期的に見ても有利
【デメリット】
利益が出ていない(法人税が発生しない)年度には恩恵を受けられない
初年度のキャッシュフロー改善効果は特別償却に劣る
特別償却とは
対象となる資産の取得価格全額を取得年度の費用として計上が可能となる制度です。
【メリット】
初年度の税負担を大幅に軽減できるため、手元の資金繰りが楽になる
設備投資でキャッシュが減った直後には大きなメリット
【デメリット】
あくまで「課税の繰り延べ」であり、税金の総支払額が減るわけではない
初年度に多く費用計上した分、翌年度以降に計上できる減価償却費がなくなり、将来の税負担が増加する可能性あり
それぞれの使い分け
「税額控除」がおすすめのケース
毎年安定して利益が出ており、納税額も大きい会社
→直接税金を減らせるメリットを最大限に活かせます。
長期的な視点で、節税総額を最大化したい会社
→課税の繰り延べではなく、純粋な減税となるため、トータルの納税額を抑えられます。
「特別償却」がおすすめのケース
設備投資で一時的に資金繰りが厳しい会社
→初年度の納税を抑え、手元資金を確保することを最優先できます。
利益の変動が大きく、今年はたまたま大きな利益が出た会社
→今期の税負担をピンポイントで軽減し、将来の税負担に先送りしたい場合に有効です。
まとめ
どちらの制度を選択するかは、重視するポイントが「資金繰り」なのか「節税効果」なのかでご検討いただければよいかと思います。
目先の資金繰り重視→特別償却
長期的な節税総額を重視→税額控除
自社の利益状況や今後の事業計画をよく見極め、最適な選択をしてください。
また別途「経営力向上計画」や、「先端設備導入計画」を作成し認定を取得することでさらなる優遇措置を適用できる場合もございます。
設備投資をご検討の際は、各種税制面の優遇制度、資金繰り面等検討する事項が多数ありますので導入検討の段階で事前に顧問税理士などの専門家に相談することをお勧めします。
ご不明点等ございましたら、弊社までお気軽にご連絡をいただけますと幸いです。
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