今回は大阪で税務調査に強い税理士の選び方や探し方について解説していきます。
大阪で税務調査に強い税理士はどんな人材なのだろうか?と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。令和5年12月現在、全国では81,202名が税理士として登録をしています。(日本税理士会連合会調べ)
この中から大阪に拠点がある税務調査に強い税理士を調べるとなれば、手間がかかることが予想されます。とはいえ、税務管理を委託するとなれば、人柄だけで決めてしまうのは危険です。
まずは、税理士にはどのような役割があり、どこが違うのかを把握すると、自身のビジネスに合う人材を見つけやすくなります。
本記事では、大阪で税務調査に強い税理士の選び方についてくわしく説明しています。税務調査の流れや国税OBの税理士についても説明しているので、参考にしてみてください。
税務調査とは
税務調査とは、納税者が正しく税務申告(確定申告)を行っているかを、徴税機関(国税庁や税務署、税関など)が調査し、正しく是正させる手続きを指します。
そもそも法人税など、税金の多くは納税者が自ら税額を計算して申告・納付する「申告納税制度」が採用されています。したがって、申告漏れや無申告、不正行為の防止をなくす目的で税務調査は行われるのです。
調査官が申告書や帳簿などを確認し、適正に処理されているか、記載漏れはないか等を確認していきます。その結果、誤りや不正が発覚した場合は、修正申告をおこなったうえで納税を求めます。また、過失が重大であればペナルティを科すこともあるのです。
税務調査の対象は法人だけではなく、確定申告を行う個人も対象となります。
税務調査の目的とその流れ
税務調査の目的とその流れについて説明します。なにがおこなわれるのかを把握していれば、事前準備も整えやすく、落ち着いて対処できるでしょう。
- 1 通知を受ける
- 2 日程調整する
- 3 書類を準備する
- 4 調査を受ける
- 5 結果を受け取る
1. 通知を受ける
税務調査は、申請書の内容に不備や虚偽の記載はないのかを確認する手続きを指します。調査は税務調査官が現地でおこなうため、所轄の税務署から事業所へ出向くのです。
この場合は原則として事前通知をおこなうよう、国税通則法第74条の9において定められています。
したがって、まずは所轄の税務署から電話や文章で税務調査実施の連絡を受けます。おおむね調査の2〜3週間前に通知されることが多いようです。また、税理士が申告書に税務代理権限証書を添付している場合は、税理士に連絡が行きます。
一方、同74条の10においては特例として「事前通知なし」の規定も定められています。
2. 日程調整する
通知を受けたあと、税務署と日程調整をおこないます。ある程度はこちらの都合を聞いてもらえるため、繁忙期は避け落ち着いて対応できる日を選びましょう。
顧問税理士がいる場合は立ち会いを依頼し、税理士の日程も考慮することが可能です。
3. 書類を準備する
税務調査前に必要書類を揃えます。顧問税理士がいる場合、税務調査前に打ち合わせをして必要書類を確認することも大切です。
また、調査時に聞かれる質問を想定して答える内容を準備しておくとスムーズです。
4. 調査を受ける
税務調査官が事業所を訪れて調査します。調査官の質問には正確に回答し、書類や帳簿を求められれば提示、または提出するのが基本です。おおむね2日間にわたり、調査をおこなう場合が多いです。
このとき、顧問弁護士がいれば同席してもらい、税務調査官からの質問の受け答えや必要書類や帳簿の指示を受けましょう。
調査員の訪問が終わっても、税務調査は続きます。訪問での調査を踏まえ、税務署から質問や指摘があり、それに回答したり、資料を準備したりするやりとりが続きます。顧問税理士がいる場合は税理士が対応しますが、いない場合は事業主が対応するのです。
調査結果が確定するまでには、およそ1カ月ほどかかります。
5. 結果を受け取る
調査結果とその着地点は、次の3つです。
申告是認 | 申告内容に誤りがないと判断された |
修正申告 | 税務署からの指摘内容を認めて「修正申告」を提出する |
更正 | 税務署からの指摘内容に異議を申し立て「修正申告」をしない |
税務署からの指摘内容が不服で「修正申告」をしなかった場合、税務署が申告の誤りを正す「更正」をおこないます。
修正申告や、更正の場合も不足していた税額や延滞税、過少申告加算税などを納めますが、悪質な脱税と判断されると重加算税が課せられる場合があります。
大阪における税務調査の傾向
近年の大阪における税務調査は、特に中小企業や個人事業主を中心に増加傾向にあるようです。
大阪国税局は、不正確な申告や脱税の疑いがあるケースに対し、より厳格な検査を実施しており、中でも国際取引に関わる場合や、大きな資金の移動があった企業に対する調査が強化されています。
これらの動向は、税務遵守の重要性を示しており、大阪でビジネスを行う企業や個人にとって、税務申告の正確性と準備の必要性を強調しています。
税務調査への備えとして、正確な記録の維持、適切な申告書の提出、必要に応じて専門家の助言を求めることが重要であるといえます。
税務調査に強い税理士の特徴
税務調査に強いと思われる税理士の特徴を3つ紹介します。実績だけでなく、税理士の人柄も大切な要因であることは、頭の片隅に入れておきましょう。
- 税務調査の経験が豊富
- 顧客の立場に立った意見
- 税法を熟知し交渉力がある
税務調査の経験が豊富
税務調査の対応は、その場で自らが経験したことで培われていくものです。税法に関する知識も大切ですが、それだけでは熟練した調査官に反論するのはむずかしいでしょう。
税理士の資格を得ただけでは、ペーパードライバーと変わりません。資格取得後の経験と実績が豊富な税理士に依頼した方が安心できるといえます。
顧客の立場にたった意見
税務調査は原則、納税者の任意に基づくものです。とはいえ、実際には断れないものでもあります。
任意に基づくものであるにもかかわらず、調査官が威圧的に質問したり、関係ない個人情報まで調べようとすることがあるといいます。これに対して意見を言わなければ、プライベートが侵害されたり、不当な追徴課税を受けたりする可能性も否定できません。
不当な扱いがある場合は、顧客を守り意見や反論をしてくれる税理士を選ぶことが重要です。これは、税理士が客の立場を守り、不要な調査や追加税金を防ぐためにも大切です。
税法を熟知し交渉力がある
極端にいえば、税務調査はいかに調査官を納得させるかが重要です。税理士は顧客の立場を理解し、適切な回答と説得力のある提案で調査官にアプローチする必要があります。
反対意見を述べる場合はただ反論するだけではなく、顧客の状況を踏まえた交渉が重要です。
調査官を納得させることで、顧客に最適な結果をもたらすことができるのです。このような税理士は、単なる支援者ではなく、顧客の目的を達成するための重要なパートナーとなるでしょう。
国税OBは税務調査に強い?
国税OBとは、税理士として働く前に国税庁の国税専門官として勤務した経験を持つ税理士です。国税庁で国税専門官として23年間所属し、税務調査の実務に従事すると、税理士試験を受けることなくその資格を得られます。
したがって、国税OBは税務調査の仕組みや調査する側の傾向を熟知していると考えられるのです。
ここでは、国税OBについてくわしく説明します。
- 国税OBに依頼するメリット
- 国税OBに依頼するデメリット
- 税理士としての知識が豊富な人を選ぶ
国税OBのメリット
国税OBに依頼するメリットは多数あげられますが、主だったものを3つ紹介します。
メリットを理解し、選任する際の判断基準として頭に入れておきましょう。
調査を意識した申告のアドバイスができる
国税OBの税理士には、税務調査の実務経験があるため、税務調査で指摘されやすい箇所を熟知しています。
顧問税理士に国税OBの税理士がいれば、税務調査時だけでなく事前準備の段階から調査官と同じ目で資料をチェックし、適格なアドバイスを受けることが可能といえます。
普段は見落としがちな内容や資料の添付なども、事前にアドバイスを受けられるため、万全の体制で税務調査の日を迎えられるでしょう。
調査官の意図を理解して対応できる
国税OBは経験上、税務調査官の発言や質問内容にどのような意図があるのかを見極められるといえます。
質問の意図を理解できれば、ピンポイントで回答を出せたり、適切な対応ができたりするので安心です。
調査官の見極めたうえで交渉や反論ができる
税務調査は、申告内容が間違っていないか、虚偽の内容ではないかを見極めるためにおこなわれる調査です。問題がなければそれに越したことはありません。
しかし、解釈の違いによって判断が変わるケースも存在します。その場合、国税OBの税理士なら、調査官の意図を見極めながら納得させるポイントを探ったうえで交渉、反論ができます。
交渉の結果、調査官を納得させることができたり、追徴課税の税額に影響がでたりする可能性もあるのです。
国税OBのデメリット
国税OBに依頼するメリットはたくさんありますが、反対にデメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのかをしっかり確認しておきましょう。
スケジュール調整がむずかしいことがある
所得税や法人税など税金の種類により、税務調査の時期は集中しやすい傾向にあります。そのため、国税OB税理士への依頼時期も集中しやすく、スケジュールが押さえられない可能性があるため注意が必要です。
また、スケジュール調整がむずかしいことを考慮し、顧問契約を結んでいる場合のみ対応可能などと条件を設けている場合もあります。
最新の税法に疎い場合がある
国税OBの税理士は、国税専門官として23年以上のキャリアを積んだベテランではありますが、定年後に税理士になるケースがほとんどです。
とくに幹部クラスまで出世していた人の場合は、税務調査の現場から離れていた可能性もあります。しかし、税法は毎年改正されており、各種特例や控除など毎年見直しが繰り返されるものも多く存在します。
目まぐるしく変わる税法にも、敏感に反応できる国税OBを選任することが大切です。
税務署側の考え方が根深い場合がある
常に徴収する側の対応をしてきた国税OBの中には、税務署側の考え方が抜けきらず、あえて多く納税するような申告書を作成する場合があります。
これだと納税者は知らぬ間に余分に納税することになり、コストが高くなってしまいます。
税理士としての知識と経験が豊富な人を選ぶ
税務調査に強い税理士とは、税務調査の知識と経験が豊富な税理士であることです。
税金には相続税、所得税、法人税などいくつかの種類が存在します。その中でも、自社のニーズに合った税法の税務調査に長けている税理士を選ぶことが重要です。
また人と人とのつながりのため、税理士の人柄も重要なポイントとなるでしょう。
大阪での税理士選びのポイント
大阪での税理士選びのポイントを2つ紹介します。
- 地域に精通した税理士の重要性
- 評判と実績をチェックする方法
地域に精通した税理士の重要性
大阪で税理士を選ぶ際、地域に精通した専門家を選ぶことが重要です。
大阪特有の税法、ビジネス環境、地域経済の理解が必要で、地元税務署やビジネスコミュニティとの強いネットワークがある税理士が理想的です。
評判と実績をチェックする方法
オンラインのレビューやソーシャルメディア、業界内の口コミ、既存のクライアントからのフィードバックを確認します。
また専門分野や過去の成功実績、保有資格や専門分野の確認を通じて、その専門家の実力と経験を評価します。そのうえで適切な税理士であるかを判断します。
まとめ
ひとくちに税理士と言っても得意な税務分野や考え方など、さまざまな条件で得意分野が存在することがわかりました。税務調査に強い税理士とは、自社に必要な税法を十分理解し、寄り添いながら伴走する人材であるといえます。
国税OBも、税務調査に強い弁護士といえます。ただし国税OBが全員、税務調査に強いとは言い切れないため、きちんと見極める目が必要です。
現代社会においてはオンラインも珍しくなく、東京や福岡の税理士を選任しても、一見問題はなさそうです。
しかし、大阪特有のビジネス環境や地域経済の理解などを考慮すると、大阪で商売をするのであれば、地域に精通した大阪の税理士に委託するのが一番であるといえます。