資金を調達するには何をどうすればいいのかと悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。「大阪在住だと、お得に受けられる融資制度はあるのか?」「どんな制度があるのか、相談する窓口はどこなのか?」と疑問に思う方も多いと思います。
大阪で資金調達を受ける場合、次の自治体の支援を受けられます。
- 国
- 大阪府
- 大阪市(大阪市在住の場合)
また、制度によって支援を受けられる資格など細かな決まりごとがあります。
本記事では、各制度についての概要をまとめています。資金調達をする目的や利用条件を確認して利用できそうな方法を見つけてみてください。
資金調達とは?
資金調達とは、会社を経営するうえで必要な資金を外部から調達することをいいます。開業時だけでなく、経営維持するための運転資金や新規事業を立ち上げるための設備投資、M&Aなどでも必要になることが多いです。
資金調達にはさまざまな方法があります。その調達方法を理解して事業活動を円滑に進めることに注力しましょう。
資金調達の主な5つの方法
資金調達には主に5つの方法があります。
- 借入 | デッドファイナンス
- 資産の売却 | アセットファイナンス
- 助成金や補助金 | エクイティファイナンス
- 出資
- クラウドファンディング
それぞれの特徴について詳しく説明します。
融資 | デッドファイナンス
融資とは、金融機関などから資金を借り入れる資金調達方法です。中でも制度融資は、自治体・金融機関・信用保証協会が連携して行う融資を指します。起業・開業前でも融資を受けやすいのも特徴です。
資産の売却 | アセットファイナンス
資金の売却とは、会社が所有する資産を売却して現金化する方法です。使っていない資産を売却できるルートがあれば、より即効性のある資金調達方法であるといえます。
助成金や補助金 | エクイティファイナンス
助成金や補助金とは、主に国や地方自治体による支援制度を指します。返済不要な場合が多いのも特徴です。受給には審査があり、基準を満たす場合にのみ受けられます。
出資
出資とは、成長に期待した投資家やベンチャーキャピタルが、企業や事業に資金を提供することを指します。将来的な見込みのある会社への出資となるため返済不要なのもポイントです。
クラウドファンディング
クラウドファンディングは、インターネットを活用して資金を募る方法です。自身のビジネスを紹介して共感や応援してくれる個人から資金の提供を受けます。
資金調達は計画的に!
資金調達はビジネス成功の鍵です。計画的な資金調達は、事業をはじめる場合や持続させる場合の成長を助けます。
資金調達するときは以下に基づき、計画を立てることが重要です。
- 必要な金額
- 資金調達の目的や用途
- 資金調達の方法
また、返済計画や資金の使途、予想されるリターンも含めるとよいでしょう。計画的なアプローチで、リスクを最小限に抑えて事業の成功へと導くために、資金調達は戦略的に行うことをおすすめします。
大阪で開業資金に使える制度
大阪で開業する場合に使える資金調達制度について、解説します。それぞれの特性を理解し、自分にとって条件よく使える制度を利用しましょう。
- 開業サポート資金 | 無保証人対応
- スタートアップ創出促進保証 | 会社設立時または設立5年未満
- 金融機関連携型創業関連保証(ES保証)
開業サポート資金 | 無保証人対応
開業サポート資金は、大阪府内において事業を開始するために必要な資金を融資するものです。また、下記に該当する場合は金利が定率より0.2%割引されます。
- 女性
- 若者(35歳未満)
- シニア(55歳以上)
- UIJターン該当者(受付時の1年以内に東京圏に在住していた方が大阪府内での創業が対象)
一定要件を満たす場合は、信用保証料を0.2%上乗せすることで、経営者保証(資金調達する際、経営者個人が会社の連帯保証人となること)を不要とする扱いができます。
開業資金
大阪府内において事業開始に関する具体的な計画があり、新たな事業を営むために必要な準備をしている方、または業務開始から日の浅い方で金融機関の融資後のフォローアップを受けられる方を対象としています。
目的と資金用途 | 大阪府内において事業を開始される方、または設立5年未満の中小企業者の方の事業資金 【無保証人対応】経営者保証を不要とする扱いが可能 |
融資限度額 | 3,500万円 |
保証期間 | 10年以内 |
責任共有外保証料(年) | 1.00% /【無保証人対応の場合】1.20% |
貸付利率(年) | 1.40% |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
地域支援ネットワーク型
主たる事業所が地域支援ネットワーク型取扱地域内にあり、かつ、地域支援ネットワーク型取扱金融機関本支店での利用を希望する方。また、融資後3年間に金融機関・商工会・商工会議所および大阪産業局のフォローアップを受けるなどの支援対象となる方を対象としています。
目的と資金用途 | 大阪府内において事業を開始される方、または設立1年未満の中小企業者の方の事業資金 【無保証人対応】経営者保証を不要とする扱いが可能 |
融資限度額 | 3,500万円 |
保証期間 | 10年以内 |
責任共有外保証料(年) | 0.50% /【無保証人対応の場合】0.70% |
貸付利率(年) | 1.20% |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
スタートアップ創出促進保証 | 会社設立時または設立5年未満
起業するための環境や雰囲気を良くすること、ひいては起業・創業の促進につながるように、経営保証を不要とする創業時の新しい信用保証制度として創設された制度です。
詳しくはこちら>>【スタートアップ創出促進保証 / 中小企業庁】
目的と資金用途 | 大阪府内において会社を設立される方、または設立5年未満の会社の方の事業資金 |
融資限度額 | 3,500万円 |
保証期間 | 10年以内 |
責任共有外保証料(年) | 1.20% |
貸付利率(年) | 金融機関所定 |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
金融機関連携型創業関連保証(ES保証)
ES保証は金融機関連携型創業関連保証の別称で、信用保証協会の保証制度の1つです。この制度のおすすめ理由として、次の3つが挙げられます。
- 公庫の融資分が自己資金としてみなされるケースがある
- 公庫用に作成した事業計画をそのまま使えるケースがある
- その後の業績が好調なら「ES保証プラス」が利用可能
ただし、信用保証協会に支払う保証料が発生するなどデメリットもあるため、注意しましょう。
詳しくはこちら>>【金融機関連携型創業関連保証(ES保証)/ 大阪信用保証協会】
目的と資金用途 | 大阪府内において会社を設立される方、または設立5年未満の中小企業の方の事業資金 |
融資限度額 | 3,500万円 |
保証期間 | 10年以内 |
責任共有外保証料(年) | 0.70% |
貸付利率(年) | 金融機関所定 |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
金融機関連携型スタートアップ創出促進保証(ES保証ネクスト)
ES保証は民間金融機関で利用可能な信用保証協会の制度です。その利点は次の3つが挙げられます。
- 公庫融資分が自己資金とみなされる
- 公庫用事業計画の再利用が可能で時間節約となる
- さらに業績が良ければ「ES保証プラス」で追加資金調達が容易になる
これにより、公庫融資を受けた方には追加融資へのアクセスが容易になります。
詳しくはこちら>>【金融機関連携型スタートアップ創出促進保証(ES保証ネクスト)/ 大阪信用保証協会】
目的と資金用途 | 大阪府内において会社を設立される方、または設立5年未満の会社の方の事業資金 |
融資限度額 | 3,500万円 |
保証期間 | 10年以内 |
責任共有外保証料(年) | 0.90% |
貸付利率(年) | 金融機関所定 |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
新型コロナウイルス感染症対応に使える資金調達制度
新型コロナウイルス感染症の拡大により、経済的影響を受けた事業者を支援するために設けられた制度や、不安定な経営状態を支えるための支援制度を紹介します。
- 新型コロナウイルス感染症等伴走支援型資金
- 経営安定サポート資金(経営安定資金)
- 伴走支援型特別保証
新型コロナウイルス感染症等伴走支援型資金
新型コロナウイルスや物価高騰の影響で困難な状況にある企業を支援するための国の経済対策です。資金繰りを助けるために設けられ、借り換えのニーズや新しい資金の必要性にも応える信用保証制度として機能します。
目的と資金用途 | 新型コロナウイルス感染症等により経営に影響を受けている中小企業者の方の事業資金 次の3つのうちいずれかに該当する大阪市内の中小企業者で金融機関による経営改善のための伴走支援を受けることができる方が対象となります。 【セーフティネット保証4号】 中小企業信用保険第2条第5号第4号に該当する者として市町村の認定を受けたもの 【セーフティネット保証5号】 中小企業信用保険第2条第5号第5号に該当する者として市町村の認定を受けたもの 【一般関係保険】 最近1ヵ月の売上高・売上高営業利益率が5%以上減少しているもの |
融資限度額 | 1億円 |
保証期間 | 10年以内 |
責任共有保証料(年) 責任共有外保証料(年) | 【セーフティネット保証4号・5号】0.85% 【一般関係保険料】責任共有保証料 0.45~1.90% 責任共有外保証料 0.50~2.20% |
貸付利率(年) | 1.2% |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
経営安定サポート資金(経営安定資金)
経営が不安定な企業に対し運転資金や設備資金の形で支援を提供する制度です。金融機関から低金利の融資を受け、企業の経営基盤の安定化を図ることを目的としています。
これにより、経営難を抱える企業が資金繰りの問題を解決し、事業を継続できるよう支援されます。
目的と資金用途 | 国が定める企業等の倒産や不況業種などの理由により、経営の安定に支障が生じている中小企業の方の資金 |
融資限度額 | 2億円(うち 無担保8,000万円) |
保証期間 | 7年以内 |
責任共有保証料(年) 責任共有外保証料(年) | 【責任共有保証料】0.80% 【責任共有外保証料】 0.90% |
貸付利率(年) | 金融機関所定 |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
伴走支援型資金
中小企業や個人事業主が直面する経営上の課題を解決するため、金融機関の融資と連携して提供される保証制度です。
この制度は、単に資金を提供するだけでなく、経営改善のアドバイスや指導も伴うことが特徴です。企業や事業主が困難を乗り越え、安定した経営を目指すためのサポートを行います。
目的と資金用途 | 新型コロナウイルス感染症等により経営に影響を受けている中小企業者の方の事業資金 次の3つのうちいずれかに該当する大阪市内の中小企業者で金融機関による経営改善のための伴走支援を受けることができる方が対象となります。 【セーフティネット保証4号】 中小企業信用保険第2条第5号第4号に該当する者として市町村の認定を受けたもの 【セーフティネット保証5号】 中小企業信用保険第2条第5号第5号に該当する者として市町村の認定を受けたもの 【一般関係保険】 最近1ヵ月の売上高・売上高営業利益率が5%以上減少しているもの |
融資限度額 | 1億円 |
保証期間 | 【一括返済】1年以内 【分割返済】10年以内 |
責任共有保証料(年) 責任共有外保証料(年) | 【セーフティネット保証4号・5号】0.85% 【一般関係保険料】責任共有保証料 0.45~1.90% 責任共有外保証料 0.50~2.20% |
貸付利率(年) | 1.2% |
申込受付窓口 | 金融機関 ※取扱のない金融機関もあります |
小規模企業者向けの資金調達
小規模企業者のニーズに合わせた融資や支援制度を紹介します。
- 小規模企業サポート資金 | 小規模資金
- 小規模企業サポート資金 | 地域支援ネットワーク型
運転資金の提供や設備投資の支援を通じて、小規模事業者の経営安定化と成長促進を図るとともに、資金繰りに課題を抱える小規模企業者が効果的に支援を受けられます。
小規模企業サポート資金 | 小規模資金
小規模な事業者を対象にした融資制度です。運転資金や設備投資資金を低金利で提供し、小規模事業者の経営安定化や成長を支援することを目的としています。
資金繰りに困難を抱える小規模事業者が利用可能で、経済的負担を軽減しながら事業の継続や拡大を図ることができます。
目的と資金用途 | 小規模企業者の事業資金 |
融資限度額 | 2,000万円 |
保証期間 | 7年以内 |
責任共有外保証料(年) | 有担保0.40%~2.10% 無担保0.50%~2.2% 一律保証料適用の場合有り |
貸付利率(年) | 1.6% |
申込受付窓口 | 取扱金融機関 |
小規模企業サポート資金 | 地域支援ネットワーク型
地域密着型の支援を目的とした融資制度です。この制度は、地元の中小企業や小規模事業者に特化し、彼らの資金調達を支援するとともに、地域経済の活性化を図ります。
地域の金融機関や支援機関が連携して運営し、事業者のニーズに応じた具体的なサポートを提供します。これにより、地域に根差した事業の発展を促進します。
目的と資金用途 | 小規模企業者の方で、商工会・商工会議所の経営指導員による推薦を受けた方の事業資金 |
融資限度額 | 無担保2,000万円(保証協会の既存保証付融資残高との合計) |
保証期間 | 7年以内 |
責任共有外保証料(年) | 1.40% |
貸付利率(年) | 金融機関所定 |
申込受付窓口 | 【都市銀行】みずほ 三井住友 三菱UFJ りそな 【地方銀行】池田泉州 関西みらい 徳島大正 【信用金庫】 尼崎 永和 大阪 大阪厚生 大阪シティ 大阪商工 北おおさか |
市区町村が支援する融資制度 | 大阪市の場合
大阪市内に事務所または事業所がある場合は、大阪市の制度を利用できる場合があります。
- 大阪市経営支援特別融資
- 大阪市設備投資応援融資
利用資格を確認し、該当していれば合わせて検討してみましょう。
大阪市経営支援特別融資
大阪市内の小規模企業者に対して、必要な事業資金を国の小口零細企業保証制度を活用し大阪信用保証協会の保証を付けて、希望する金融機関を通じて融資するものです。
大阪市内に事務所または事業所を所有し、同一の事業をおおむね1年以上経営している必要があります。さらに、最近3ヵ月または6ヵ月の売上高が前年同期と比較して減少している方が対象です。
詳しくはこちら>>【経営支援特別融資のごあんない/ 大阪市】
大阪市設備投資応援融資
大阪市内の中小企業者に対して、経営基盤の強化に必要な設備を導入するために必要な設備資金を、大阪信用保証協会の保証を付け、希望する金融機関を通じて融資するものです。
大阪市内に事務所または事業所を有しており、原則として事業による大阪市市民税を納税している中小企業(中小企業信用保険法第2条第1項に定める)で、一般型または計画認定型のいずれかを満たす方が対象です。
詳しくはこちら>>【大阪市設備投資応援融資のごあんない/ 大阪市】
大阪で資金調達の相談ができる場所は?
大阪で資金調達の相談ができる施設を一覧表にまとめました。質問のある方や説明を読んでもわからない方は、一度相談してみるのもよいでしょう。
施設名 | 担当部署 | 連絡先 |
大阪商工会議所 | 経営相談室 | 06-6944-6472 |
大阪府 | 中小企業支援室金融課 制度融資グループ | 06-6210-9508 |
大阪市 | 大阪市経済戦略局企業支援課 | 06-6264-9844 |
大阪産業局 | 大阪府よろず支援拠点 | WEB予約ページ 来訪・オンラインのみ |
中小企業庁 | 中小企業金融相談 | 0570-064-350 |
まとめ
資金調達といっても、目的や使用用途、住んでいる場所によってさまざまな方法があります。制度の趣旨を理解し、自身に合う制度を見極めて利用することで、事業の創業や発展の力になることは間違いありません。
とはいえ、制度の細かい規則や利用条件などは専門用語も多く、全てを理解して運用するには時間がかかります。そんなときは取引のある金融機関や各自治体にある窓口で相談してみるのも良い方法です。
資金調達は、その目的と使用用途を明確にして利用可能な制度を見極め、余裕をもって計画的に進めることが重要なのです。