中小企業が利用できる経営・資金繰り改善の支援策と活用のポイント|【姫路で愛されて30年】姫路の税理士 みそら税理士法人

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2022年11月15日

中小企業が利用できる経営・資金繰り改善の支援策と活用のポイント


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現在、コロナをはじめ円安、物価高などの影響により、「経営が苦しい」、「資金繰りが厳しい」とお考えの経営者の方は多いと思います。このようなときに利用を検討したいのが、政府の経営支援策です。

政府は経営が厳しい中小企業に対し、さまざまな支援策を打ち出していますが、その内容が十分に周知されていないため、実際に活用できている企業はあまり多くないというのが現状です。しかし、これらの支援策は資金繰りの改善だけでなく、税金の優遇なども受けられるため、できるだけ多くの支援策を活用することが経営の活性化につながります。

この記事では、最新の中小企業の支援策の種類や、制度の概要、利用したときのメリットなどについて解説いたします。

今後の支援策の方向性について

令和5年度概算要求(中小企業・小規模事業者等 )にもとづく今後の支援の方向性

これまでの中小企業支援においては「新型コロナウイルス感染症による影響の緩和」がその中心的なテーマとなってきました。しかし、コロナウイルス感染症の蔓延も徐々に落ち着く中で、コロナを対象とした支援から、今後は円安や物価高対策、企業の経営力の向上などを支援する方向に変わりつつあります。

「令和5年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係 概算要求等ポイント」によれば、今後の政府の重点的な支援分野は、以下の2つとされています。

令和5年度概算要求(中小企業・小規模事業者等)による支援策の概要

令和5年度概算要求(中小企業・小規模事業者等)による支援策の概要は、以下の通りとなっています。

【1】コロナ長期化・原材料価格高騰等の危機への対応

● 資金繰り支援等を通じて、足元の業況が厳しい中小企業・小規模事業者等の事業継続を強力に支援する。また、「転嫁円滑化施策パッケージ」の着実な実施により価格転嫁・取引適正化を実現し、持続的な賃上げの原資となる収益を確保する。

【2】創業・事業承継を通じた挑戦・自己変革の推進

●創業・事業承継・引継ぎ(M&A)という転換点を契機に新たな取組に挑戦する自己変革への意欲が高い企業への支援を強化

●上記目的の達成のため、①創業時の借入時における経営者保証を不要とする保証制度創設、②中小企業・小規模事業者の後継者同士のネットワークの創出、③事業承継に係る手厚いサポート体制の構築等を行うことにより、創業・事業承継を円滑に実施するための環境の整備

したがって、支援策を利用する企業においても、これまでのようなすぐに給付金が支給される支援を期待するのではなく、経営力の強化や事業の成長に役立つ方向に向けた支援策の活用を検討していく必要があるといえます。

支援策を利用再の注意点とポイント

国や自治体の支援策を利用する場合には、「要件的に使えそうだから」とか「資金がもらえそうだから」という理由で申し込むのではなく、「本当に、利用が必要なのか?」や「事業に役立つものなのか?」という視点で検討する必要があります。

主な支援策の種類

国等が行う主な支援策には、以下のようなものがあります。

特定の計画や行為について都道府県や自治体により認定を行うもので、これにより一定の優遇が受けられます。

現在、国等が実施している支援策は数十種類ありますが、すべての企業が申し込めるわけではなく、利用できる制度の数も限られています。また、支援策を利用する場合には、それなりの手間や労力、コストも必要となります。

たとえば、補助金の申請では利用できる企業の要件が厳格に決められており、申し込みの際には詳細な事業計画書を作らなければなりません。また、設備に関する補助金を受給するには、多額の購入費の支払いが先に必要となります。

しかし、このような労力やコストをかけて補助金を獲得しても、その事業が会社にとってあまり意味のあるものでない場合には、有用でないだけでなく、その後の事業において負担となってしまうこともあります。

また、補助金は、補助事業にかかる経費を企業が先払いする必要があるため、そのための資金が必要となりますし、もし、無理な資金繰りの中で行えば、事業の途中で資金不足となってしまう可能性もあります。そのため、補助金等については、「本当に資金や時間を投入するだけの価値があるのか?」、「実施に必要な資金が準備できるのか?」について、十分に検討する必要があります。

制度は短期間で創設・廃止されるということを理解しておく

各種の支援策の中には、利用条件や申込み期間が限定されているものも少なくありません。とくに補助金については、応募期間が募集の開始から1~2か月程度しかないものもあるため、これらに応募する場合には、詳細なスケジュールの組み立てが重要となります。

また、それ以外の支援策についても制度そのものの実施期間が決められている場合もあり、このような制度を利用するときには、「期限内の申込みができるのか?」や「応募が間に合うのか?」ということについても確認しておく必要があります。

さらに、支援策には、制度そのものが改廃されたり、統合されたりすることもあるため、「いずれ〇〇の制度を使おう」と思っていても、気づいたら制度そのものがなくなっていたり、内容が変更されて申込みができなくなるということもよくあります。

そのため、支援策を利用するときには、まずはじめに、

・内容の変更の有無

・スケジュール的に問題がないか?

・補助金については、採択後の資金手当てかできるのか?

について、最新の情報で確認して申し込む必要があります。

令和5年度概算要求分 中小企業関連の支援策について

ここでは令和5年度 中小企業・小規模事業者・地域経済関係の概算要求で取り上げられている支援策のうち、とくに中小企業に関係の深いものについて、詳しく解説いたします。

新型コロナウイルス感染症特別貸付

「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、新型コロナウイルスの感染拡大で苦しむ中小企業の資金繰りを支援するために国が打ち出した、実質無利子・無担保の保証付き融資です。無利子・無担保で利用できることから「ゼロゼロ融資」とも呼ばれています。

この融資については、これまで利用者負担分の利子を国が補給する支援(利子補給)が行われてきましたが、これについては令和4年9月30日の借入申込受付分をもって、取扱いが終了となりました。

ただし、本融資制度における「-0.9%の利子の低減措置(6,000万円を限度として融資後3年目まで可)」や、この融資そのものへの申込みは、現在でも可能となっています。現在、日本政策金融公庫で行われている新型コロナウイルス感染症特別貸付の概要は、以下の通りとなります。

参考:https://www.jfc.go.jp/n/finance/search/covid_19_m.html

セーフティネット5号の改正(中小企業信用補完制度関連補助・出資事業)

これまでのセーフティネット5号は、全業種を対象に発動するまで1年半の期間が必要となっていたため、これを踏まえ今回の改正では、大規模な経済危機や災害等の発生時に、業種・地域を問わずにあらかじめ期限を区切って100%保証を実施できるものとなりました。ただし本措置は、原則1年以内と予め期限を区切って実施されます。

小規模事業者への支援拡充

小規模事業者においては経営体質や資金繰りの体力が脆弱であるという実態を踏まえ、これまでの小規模事業者向けの100%保証の限度額を、これまでの1,250万円から2,000万円に拡充することとなりました。

創業関連保証の拡充

創業者が手元資金なしで保証を受けられるよう、創業関連の保証限度額をこれまでの1,000万円から2,000万円に拡充することとなりました。

特定経営承継関連保証の創設

これまでは、事業承継においては承継者個人による株式購入費用や、事業承継で発生する相続費用・贈与税については信用保証協会の保証を受けることができませんでしたが、今後は後継者個人を信用保証の対象とし、事業承継に際しての資金ニーズに一層応えるために拡充することとなりました。

ものづくり等高度連携・事業再構築促進補助金の継続

「ものづくり等高度連携・事業再構築促進補助金」は、複数の中小企業等が連携し、連携体全体として新たな付加価値の創造や生産性向上を図るプロジェクト、新分野、業態転換、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の改善に取り組むプロジェクトについて、その経費の一部を支援するものです。

事業再構築補助金の継続

「事業再構築補助金」は、新分野展開、業態転換、事業・業種転換、事業再編、またはこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築への取り組みにかかる経費を補助するものです。

現在、「通常枠」、「大規模賃金引上げ枠」、「回復・再生応援枠」、「最低賃金枠」、「グリーン成長枠」、「緊急対策枠」の6種類の枠が設けられています。

その他の支援策について

支援策には、従来より、継続して行われているものも数多くあります。

以下では、これらのうち中小企業に関連した支援策について解説いたします。

産業雇用安定助成金

本助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して助成する制度です。

<対象者>

雇用調整を目的とする出向(新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向)を行った事業者(出向元事業主)と当該労働者を受け入れる事業主(出向先事業主)

<助成率と助成上限額>

〇 出向運営経費

出向元事業主および出向先事業主が負担する賃金、教育訓練および労務管理に関する調整経費

〇 出向初期経費

就業規則や出向契約書の整備費用、出向元があらかじめ行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品など

出向元・出向先ともに各10万円/1人当たり(定額)

加算額 各5万円/1人当たり(定額)

65歳超雇用推進助成金

「65歳超雇用推進助成金」は、65歳以上への定年引上げや高年齢者の雇用管理制度の整備等、高年齢の有期契約労働者の無期雇用への転換を推進する際に役立つ助成金です。

内容に応じた3つのコースがあります。

雇用調整助成金(特例措置)

雇用調整助成金(特例措置)は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者に対して一時的に休業、教育訓練、出向などを行った場合に、労働者に支払った休業手当等の一部を助成する制度です。通常の雇用調整助成金と比べて、助成率や上限額が引き上げられています。

ただし、現時点では、特例措置による上乗せ旧が実施されるのは、令和4年3月1日から令和4年11月30日までとなっています。

両立支援等助成金

「両立支援等助成金」とは、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備措置を実施する事業者に支給される助成金です。「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」「介護離職防止支援コース」「育児休業等支援コース」の3つのコースがあります。

「出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)」の具体的な内容は以下の通りです。

● 出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)

本補助金は、内容に応じて第1種と第2種に分類されます。

第1種は、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境の整備措置を複数実施するため、産後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得させた中小事業主に支給するものです。

第2種は、第1種助成金を受給した事業主が男性労働者の育児休業取得率を3年以内に30%以上上昇させた中小事業主に支給するものです。

新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇制度導入助成金

本制度は、新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置として休業が必要とされた妊娠中の女性労働者が、安心して休暇を取得して出産し、出産後も継続して活躍できる職場環境を整備するため、当該女性労働者のために有給の休暇制度を設けて取得させた事業主を助成するものです。

なお、上記要件のもと、令和2年5月7日から令和5年3月31日までの間に、当該休暇を合計して20日以上労働者に取得させた場合には、両立支援等助成金(新型コロナウイルス感染症に関する母性健康管理措置による休暇取得支援コース))を申請することで、対象労働者1人当たり28.5万円(1事業所当たり上限5人まで)の給付を受けることができます。

事業承継・引継ぎ補助金

本補助金は、事業承継やM&Aを契機として新しい取り組み等を行う中小企業者等及び、事業再編、事業統合に伴う経営資源の引継ぎを行う中小企業者等を支援する制度です。この制度による支援は、目的に応じて「経営革新」、「専門家活用」、「廃業・再チャレンジ」の3つに分類されます。

【経営革新事業】

事業承継、M&A(経営資源を引き継いで行う創業を含む。)を契機として、経営革新等に挑戦する中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。)の方が対象。

なお、経営革新事業では、内容に応じてさらに以下の3つに分類されます。

① 創業支援型(Ⅰ型)

創業にあたって、廃業を予定している者等から株式譲渡、事業譲渡等により、有機的一体としての経営資源(設備、従業員、顧客等)の引き継ぎを透けるために、法人の設立、または個人事業主としての開業をすること

② 経営者交代型(Ⅱ型)

親族内承継や従業員承継等の事業承継に関し、経営等に関して一定の実績や知識等を有していること

③ M&A 型(Ⅲ型)

事業再編・事業統合等のM&Aに関し、経営等に一定の実績や知識等を有していること

【専門家活用】

M&Aにより経営資源を他者から引継ぐ、あるいは他者に引継ぐ予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。)の方。

なお、専門家活用では、内容に応じてさらに以下の2つに分類されます。

① 買い手支援型(Ⅰ型)

事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り受ける予定の中小企業等を支援する類型。

② 売り手支援型(Ⅱ型)

事業再編・事業統合に伴い株式・経営資源を譲り渡す予定の中小企業等を支援する類型

【廃業・再チャレンジ】

既存の事業を廃業し、新たな取組みにチャレンジする予定の中小企業・小規模事業者(個人事業主を含む。)の方。

持続化補助(一般型)

本補助金事業は、持続的な経営に向けた経営計画に基づく、地道な販路開拓等の取組みや、その取組みと併せて行う業務効率化(生産性向上)の取組を支援するための経費の一部を補助するものであり、それぞれの枠で要件や補助額等が異なります。

なお、以前に行われていたコロナ特別対応型は終了したため、現在では一般型のみとなっています。

ものづくり補助金

本補助金は、中小企業・小規模事業者等が取り組む革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するものです。一般型(通常枠、回復型賃上げ・雇用拡大枠、デジタル枠、グリーン枠)とグローバル展開型があり、それぞれで要件や補助額等が異なります。

新型コロナウイルス感染症緊急対策に係る雇用環境整備促進奨励金 ※東京都

本制度は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を理由として、国が実施する雇用調整助成金等を活用し、非常時における勤務体制づくりなど職場環境整備に取り組む企業に奨励金を交付するものです。

まとめ

中小企業の利用できる支援策には数多くの種類があります。そのため、これらを有効に活用できれば、資金繰りや経営の改善に役立てることができるだけでなく、認証制度等についてはこれを取得することで金融機関や取引先の評価の向上にもつながります。

しかし、支援策はそのすべてが利用できるわけではなく、また、制度の新設や改正も頻繁に行われるため、常に最新の情報をチェックしておく必要があります。また、支援策の利用には一定の手間や先払いのコストがかかるものもあるため、公募要領等をよく読んで利用の条件や応募期間などを確認した上で検討することが重要となります。

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