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税務/会計
2021年3月1日

個人事業税について


こんにちは。

みそら税理士法人の奥田です。

確定申告の結果生じる税金として、「所得税」や「消費税」がございますが、その他にも「個人事業税」「住民税」などの税金も生じることがございます。

今回はその中の「個人事業税」について解説させていただきます。

個人事業税とは?

個人事業主として個人で行う一定の事業で290万円以上の所得がある場合に、その事業を行っている事務所等が所在する都道府県が課税する税金のことです。

複数の都道府県に事業所等がある場合は各都道府県へ納付が発生することになります。

個人事業税は、所得税や住民税等と違い「租税公課」として事業の必要経費として算入することができるのが特徴です。

原則的な納付のタイミングは8月と11月の2回に分けて納付となります。

個人事業税の申告は?

前年1年間の対象の事業による所得について、翌年の3月15日までに都道府県税事務所に個人事業税の申告書の提出が必要となります。

所得税の確定申告を行えば個人事業税の申告は別途行う必要はありません。

この場合には、所得税の確定申告書第二表の「住民税・事業税に関する事項」欄への該当事項の記載が必須となりますのでご注意ください。

個人事業税の対象となる個人事業主は?

全ての個人事業主が対象になるのではなく下記の表に記載されている業種に該当する場合に課税の対象となります。

表1

区分事業の種類税率
第一種事業物品販売業、保険業、金銭貸付業、物品貸付業、製造業、請負業、印刷業、出版業、写真業、旅館業、料理店業、飲食店業、遊技場業、不動産売買業、広告業、運送業、運送取扱業、倉庫業、席貸業、周旋業、代理業、仲立業、問屋業、サウナ風呂等の公衆浴場業、演劇興行業、遊覧所業、興信所業、案内業、冠婚葬祭業、電気供給業、土石採取業、電気通信事業、船舶ていけい場業、両替業、商品取引業、不動産貸付業、駐車場業5%
第二種事業畜産業、水産業、薪炭製造業(主として自家労力を用いて行うものを除く)4%
第三種事業医業、歯科医業、薬剤師業、獣医業、弁護士業、司法書士業、公証人業、弁理士業、税理士業、公認会計士業、計理士業、社会保険労務士業、コンサルタント業、設計監督者業、不動産鑑定業、デザイン業、諸芸師匠業、歯科衛生士業、歯科技工士業、測量士業、土地家屋調査士業、理容業、美容業、クリーニング業、第一種事業以外の公衆浴場業(銭湯)、印刷製版業5%
あん摩・マッサージ・指圧・はり・きゅう・柔道整復その他の医業に類する事業、装蹄師業3%

対象業種でも該当しない場合とは?

上記の表1に、個人事業税の対象業種を記載しておりますが、上記に記載された業種であっても個人事業税の対象とならない場合もあります。

第一種事業に含まれる不動産貸付業等は態様等により対象事業に該当する場合としない場合があります。

対象となるのは下記の表の条件に当てはまり、「事業的規模の不動産賃貸業」に該当する場合に限られます。

例として、法人の代表者が自宅の一部を事務所として利用しており法人から賃料を頂いている場合は事業的規模を満たしておらず、その際の不動産所得は個人事業税の対象とはなりません。

貸し付けの態様認定基準
住宅を貸し付けている場合(a)マンション、アパート、貸間等の部屋貸しをしている場合10室以上
(b)一戸建住宅を貸し付けている場合10棟以上
住宅以外の建物を貸し付けている場合(c)独立家屋以外の建物を貸し付けている場合10室以上
(d)独立家屋を貸し付けている場合5棟以上
土地のみを貸し付けている場合(e)住宅用土地を貸し付けている場合貸付契約件数が10件以上又は貸付面積が2,000平方メートル以上
(f)住宅用土地以外の土地を貸し付けている場合貸付契約件数が10件以上
上記不動産((a)~(f))の建物と土地を併せて貸し付けている場合室数、棟数又は土地の貸付契約件数の合計数が10以上
※上記に掲げる基準未満の建物の貸し付けを行っている場合においても、当該建物の貸付総面積が600平方メートル以上で、かつ、貸付料収入金額(権利金及び更新料等その名目を問わず一時に収受するものを含み、共益費を除く。)が年1,000万円以上である場合は個人事業税の該当事業となります。
この場合の貸付総面積とは、賃貸契約に含まれていない共用部分(ロビーや廊下等)の面積も含みます。

個人事業税の計算方法は?

個人事業税の税額の計算方法は下記の方法になります。
(所得金額 – 損失の繰越控除額 – 事業主控除額(年290万円))×税率=税額

       ※1           ※2        ※3

※1対象となる事業の総収入金額―対象となる事業の必要経費―青色事業専従者給与額又は事業専従者控除額の算式により算出。

※2対象となる事業に係る繰越損失金額です。損失の繰越を行うためには青色申告が必要となります。青色申告を行うことで最大3年間損失を繰越することが可能です。

※3対象となる個人事業主は一律年290万円の控除ができますが、年度の途中で開業または廃業した場合は月割となります。

例:7月に開業した場合→6ヶ月分のみ控除可能となるため290万円×6ヶ月÷12ヶ月=145万円控除となります。

まとめ

個人事業税の主なポイントは下記の3点です。

① 個人事業税とは個人事業主に都道府県が課す税金です。

② 課税対象となるのは、「所得が290万円以上ある」、「事業の種類が対象の業種に含まれる」この二つの要件を満たした場合です。

③ 不動産貸付業は、貸し付けの態様によっては個人事業税の対象とならない場合がある。

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