税理士と公認会計士の守秘義務の違い|神戸の税理士【みそら税理士法人】

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神戸
2019年10月1日

税理士と公認会計士の守秘義務の違い


こんにちは。みそら税理士法人でございます。

税理士や会計士には守秘義務(秘密を守る義務)があります。

守秘義務は、医師・看護師・行政書士・司法書士・公務員などにもあり、プライバシーに触れることが多い業務内容で、生命やお金に関わることに関連した仕事という共通点をもっていますよね。

守秘義務とは、業務上クライアントに関する秘密をみだりに他者に漏らしてはならないということです。

これらは法律で定められていますので、違反すると「情報漏洩(じょうほうろうえい)」の罪で罰せられます。

税理士ならば税理士法、会計士ならば公認会計士法という法律によって定められています。

そのため、秘密保持契約書などをあらためて作成する必要はありません。

わたしたち税理士・公認会計士の業務は、クライアントとの信頼関係がなければ成立しませんので、守秘義務をしっかりと守るのです。

ここでは、税理士と公認会計士の守秘義務とは何なのか、それぞれにどんな違いがあるのかについて掘り下げていきます。

 

税理士の守秘義務

税理士の守秘義務は、税理士法の第38条と第54条によって、以下のように定められています。

税理士の仕事は、スポット的に行われるものもありますが、その多くが企業の顧問税理士としての役割です。

そのため、経営者とのかかわりを深めながら業務を進める必要があり、経営者の相談に乗ることも多くなります。

中小企業を中心に税金計算をメインにするほか、経営コンサルタントの役割をこなすことも多いでしょう。

その際に、企業に関してのさまざまな情報や経営状態の内情などについての秘密を洩らさないように気を付けます。

 

税理士法:第38条(秘密を守る義務)

正当な理由※¹がなく、税理士業務に関して知りえた秘密をほかに漏らし、または窃用(せつよう)※²してはならない。

税理士でなくなったあとにおいてもまた同様とする

 

税理士法:第54条(税理士の使用人等の秘密を守る義務)

税理士又は税理士法人の使用人その他の従業員は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知りえた情報を他に漏らし、又は窃用してはならない。

税理士又は税理士法人の使用人その他の従業員でなくなった後においても、同様とする

もしも、これらの守秘義務を犯してしまった場合は懲戒処分となり、税理士法第59条により2年以下の懲役または、100万円以下の罰金が定められています。

※¹:本人の承諾があるもの。

法令に基づく義務など。

※²:職務上知りえた秘密を、自己または第三者のために利用すること。

刑罰対象になる。

 

公認会計士の守秘義務

公認会計士の守秘義務は、公認会計士法第27条と倫理規則第2条6項により、以下のように定められています。

公認会計士の仕事も税理士と同様、クライアントと日常的に情報交換が必要な顧問契約で進められることが多く、情報漏洩には細心の注意が必要なのです。

公認会計士は税理士よりもさらに業務内容の範囲が広いため、クライアントから得た情報の厳しい管理が求められます。

 

公認会計士法:第27条(秘密を守る義務)

正当な理由がなく、その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らし、または盗用※してはならない。

公認会計士でなくなった後であっても同様とする。

 

倫理規則:第2条第6項(守秘義務)

会員は正当な理由がなく、業務上知り得た秘密を他の者に漏洩したり、自己または第三者の利益のために利用してはならない。

業務上知り得た秘密とは、会員が、会計事務所等、事業主(潜在的な雇用主を含む)、依頼人(潜在的な依頼人を含む)及び業務上の会社等から知り得た秘密を言う。

会員は業務上知り得た情報を利用しているのではないかと外観を呈することがないよう留意しなければならない。

倫理規則より引用

もしもこの守秘義務を犯してしまった場合、公認会計士法第52条によって2年以下の懲役、もしくは 100万円以下の罰金が課せられます。

※:他人の所有になるものを無断で使用すること。

 

税理士と公認会計士の守秘義務の違い

税理士にも公認会計士にもそれぞれの法律で守秘義務が定められており、その文言はほとんど同じように書かれています。

罰則も同じでしたよね。

ざっくりと言ってしまえば、それぞれの業務で知り得たことを決して外部に漏らしてはならないという内容でした。

でも、税理士と公認会計士の仕事内容には違いがあり、かかわるクライアントも違います。

公認会計士のクライアントとなるのは、上場企業や大会社が多く『監査』の仕事がメインです。

 

そのため、企業経営や経営の管理について詳しく入り込まなければならないことなどから、日本公認会計士協会では情報漏洩対策として以下のような指針を打ち出しています。

 

  • 公認会計士業務における情報セキュリティの指針
  • 業務上取り扱う電子データの漏洩を防ぐセキュリティの指針

 

これに対して日本税理士連合会には、情報漏洩に特化した指針が定められていないという違いがあります。

 

まとめ

この記事では、税理士と公認会計士の守秘義務の違いについて解説しました。

それぞれに法律(法令)によって定められた守秘義務があり、違反した場合には税理士や公認会計士として働けなくなり、罰金も請求されることになります。

また、情報漏洩に関しての指針は、公認会計士と税理士で違いがありましたが、税理士・公認会計士どちらにも共通しているのはクライアントに対する『意識』です。

法律で決められているから守秘義務に注意しよう、罰せられるから情報を漏らさないようにしようというのではありません。

資格を持った自分たちだけが行える仕事でクライアントを守り、企業が安全に業務を続け、さらに成長して行けるように、ともに進む意識です。

税理士・公認会計士一人一人がこの志を持つことはもちろん、守秘義務を守るためには税理士事務所内での連携がうまく取れていることも大切です。

 

 

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