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公開:2025年12月8日
更新:2025年12月8日

マイカー通勤の非課税限度枠が増えました!今年の年末調整で注意すべき「遡及(そきゅう)」処理とは?


こんにちは。みそら税理士法人の上山です!

 

実は、この11月に「通勤手当の税金に関するルール」がひっそりと、しかし大きく変わりました。 今回の改正ポイントと、今年の年末調整で絶対に忘れてはいけない実務について、分かりやすく解説します。

 

  • 202511月の改正で、車・バイク通勤の非課税限度額が引き上げられました。
  • 202541日までさかのぼって適用されます。
  • 今年の年末調整で「精算(払い戻し)」が必要です。

 

1. 通勤手当の「非課税」とは?

前提として、給与として受け取るお金には通常「所得税」が課税されます。しかし、通勤手当については「会社に行くための必要なお金」という性質があるため、一定額までは税金がかかりません。これが通勤手当の「非課税」です。

この非課税枠を超えた分については、給与と同じ扱いとなり、所得税・住民税の課税対象となります。

 

. 何が変わったの?(11年ぶりの引き上げ!)

ガソリン価格の高騰などを受けて、自動車や自転車などで通勤している人への「通勤手当の非課税枠」が引き上げられました。

簡単に言うと、「給料のうち、税金がかからない枠が増えた(=手取りが少し増える)」という嬉しいニュースです。

新しい限度額の一例(片道距離) 特に距離が長いほど、引き上げ額が大きくなっています。

  • 10km以上 15km未満: 7,1007,300+200円)
  • 25km以上 35km未満: 18,70019,700+1,000円)
  • 55km以上: 31,60038,700+7,100円)

電車やバス通勤(定期券)の上限(月15万円)に変更はありません。

 

区分

課税されない金額

差額

改正前

改正後

2km未満

全額課税

全額課税

2km以上10km未満

4,200

4,200

0

10km以上15km未満

7,100

7,300

200

15km以上25km未満

12,900

13,500

600

25km以上35km未満

18,700

19,700

1,000

35km以上45km未満

24,400

25,900

1,500

45km以上55km未満

28,000

32,300

4,300

55km以上

31,600

38,700

7,100

 

 

. ここが重要!「令和74月までさかのぼる」ってどういうこと?

今回の改正で一番ややこしいのが、適用開始日です。 ルールが決まったのは202511月ですが、適用は「2025年(令和7年)41日以降に支払われた分」からとなります。

つまり、「4月〜11月の間、本来は非課税(税金ゼロ)でよかったのに、古いルールのままで税金を引いてしまっていた」という状態が発生しています。

 

. 会社がやるべき「年末調整」での対応

払いすぎていた税金を、従業員の方に返す必要があります。具体的な手順は以下の通りです。

  1. 対象者の洗い出し: マイカー・自転車通勤者で、改正前の限度額を超えて通勤手当をもらっていた人(通勤距離が片道10km以上の方)をピックアップします。
  2. 差額の計算: 4月支給分から現在までの「課税されていた金額」と「新ルールなら非課税だった金額」の差額を計算します。
  3. 年末調整で精算: 年末調整の計算の中で、払いすぎていた所得税を還付(マイナス)処理します。

 

まとめ

今回の改正は、従業員の方にとっては「手取りが増える」メリットがありますが、経理担当者様にとっては「計算のやり直し」という手間が発生する案件でもあります。

給与計算ソフトのアップデート状況を確認しながら、令和7年度の年末調整の際は、ご注意下さい。

 

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