こんにちは。みそら税理士法人 廣岡です。
新型コロナウィルス感染症の影響で、多くの業界で需要が回復しない状況が続いています。そのようなコロナ禍の中、既存ビジネスの立て直しに精一杯で、新しいビジネスにチャレンジしようにも投資できる資金的余裕がない中小企業が多いと思います。
今回ご紹介する「事業再構築補助金」は、そのような企業にご確認頂きたい2021年の目玉と思われる補助金です。
事業再構築補助金とは?
事業再構築補助金は、新型コロナウィルスの影響で売上を回復することができない中小企業に対して、新規事業分への進出、新分野への展開、業態転換、事業再編といった挑戦を支援する補助金です。
事業再構築補助金の成果目標
(1) 事業終了後3〜5年で
(2) 付加価値額の年率平均0%(⼀部5.0%)以上増加、
⼜は
(3) 従業員⼀⼈当たり付加価値額の年率平均0%(⼀部5.0%)以上の増加を⽬指します。
付加価値額の求め方ですが、『ものづくり補助金で』も同じような事業計画が求められており、これを参考にすると、付加価値額=営業利益+人件費+減価償却費として計算できます。
事業再構築補助金の予算
令和2年度第3次補正予算案額 1兆1,485億円となっています。
事業再構築補助金の申請条件
事業再構築補助金に申請できる企業の条件は以下の2つです。
① 申請前の直近6カ⽉間のうち、任意の3カ⽉の合計売上⾼が、コロナ以前の同3カ⽉の合計売上⾼と⽐較して10%以上減少している中⼩企業等。
② ⾃社の強みや経営資源(ヒト/モノ等)を活かしつつ、経産省が⽰す「事業再構築指針」に沿った事業計画を認定⽀援機関等と策定した中⼩企業等。
事業再構築補助金の補助額、補助率について
事業再構築補助金の補助額、補助率には4つのパターンがあります。
① 中小企業(通常枠)
補助額は100万円以上6,000万円以下で、補助率は3分の2。
特段の理由がない限り当該枠で申請。
② 中小企業(卒業枠)
補助額6,000万円超~1億円以下で、補助率は3分の2。『通常枠』より条件は厳しいですが、その分支給額が高くなっています。
(追加条件)
計画期間内に、①組織再編、②新規設備投資、③グローバル展開のいずれかにより、資本⾦又は従業員を増やし、中⼩企業から中堅企業への成長が必要。
③ 中堅企業(通常枠)
補助額は100万円以上8,000万円以下で補助率は2分の1。
ただし、補助額が4,000万円超の場合、補助率は3分の1。
特段の理由がない限り当該枠で申請。
④ 中堅企業(グローバルV字回復枠)
補助額は8,000万円超~1億円以下で、補助率は2分の1。
『通常枠』より条件は厳しいですが、その分支給額が高くなっています。
(追加条件)
中堅企業であり、かつ、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
(1) 直前6カ⽉間のうち売上⾼の低い3カ⽉の合計売上⾼がコロナ以前の3カ⽉の合計売上⾼と比べて、15%以上減少。
(2) 事業終了後3〜5年で、付加価値額⼜は従業員⼀⼈当たり付加価値額の年率5.0%以上増加を達成すること。
(3) グローバル展開を果たす事業。
中小企業・中堅企業の定義
中小企業とは・・・
・製造業:資本金3億円以下 又は 従業者数300人以下
・卸売業:資本金1億円以下 又は 従業者数100人以下
・小売業:資本金5千万円以下 又は 従業者数50人以下
・サービス業:資本金5千万円以下 又は 従業者数100人以下
参考:https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/g_book/2019/download/01teigi.pdf
中堅企業とは・・・
・製造業、農林漁業、鉱業、建設業、その他:資本金 3億円超 10億円以下
・卸売業 資本金:1億円超 10億円以下
・小売業、サービス業;資本金 5千万円超10億円以下
参考:https://www.meti.go.jp/statistics/tyo/kaigaizi/result-4.html
中小企業等事業再構築促進事業の活用イメージ
最後にそれぞれの業界での活用イメージをご紹介します。
小売業
・衣服販売業を営んでいたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少。
≪活用イメージ≫
・店舗での営業規模を縮小し、ネット販売事業やサブスクサービス事業に業態を転換。
(補助対象経費の例)
・店舗縮小にかかる店舗改修の費用、新規オンラインサービス導入にかかるシステム構築の費用など
製造業
・航空機部品を製造していたところ、コロナの影響で需要が減少。
≪活用イメージ≫
・当該事業の圧縮・関連設備の廃棄等を行い、ロボット関連部品・医療機器部品製造の事業を新規に立上げ。
(補助対象経費の例)
・事業圧縮にかかる設備撤去の費用、新規事業に従事する従業員への教育のための研修費用など
飲食業
・レストラン経営をしていたところ、コロナの影響で客足が減り、売上が減少。
≪活用イメージ≫
・店舗での営業を廃止。オンライン専用の注文サービスを新たに開始し、宅配や持ち帰りの需要に対応。
(補助対象経費の例)
・店舗縮小にかかる建物改修の費用、新規サービスにかかる機器導入費や広告宣伝のための費用など
まとめ
事業再構築補助金は補助額も大きく、対象条件も広い助成金です。
需要が戻らない中、コロナ以前のような既存のビジネスモデルで売上を回復するのは時間がかかると思います。挑戦的な企業が通りやすい補助金と思われるので、「ピンチをチャンスに変える」中小企業はぜひ検討してみてはいかがでしょうか?
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