こんにちは。みそら税理士法人 上吹越(かみひごし)です。 従業員給与の昇給をすることで、税額控除を受けられる制度として、「中小企業向け所得拡大促進税制」があります。近年、改正が続いている税制ですが、利用しやすくなっている印象です。 いま一度おさらいしたいと思います。 ※注意 ここで取り扱うのは、「賃上げ促進税制」ではございません。こちらは全く別物の税制となります。今後取り上げたいと思います。 改正時期の確認
所得拡大促進税制は、中小企業者等が、前年度より給与等を増加させた場合に、その増加額の一部を法人税(個人事業主は所得税)から税額控除できる制度です。 まずは、時期の確認です。 いつからいつまでが現在の税制で、いつから改正になるかを整理します。 中小企業庁のページを基に記載いたします。 https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/syotokukakudai.html ・旧制度:令和3年(2021年)3月31日まの期間内に開始する各事業年度 (個人事業主については、令和3年までの各年) ・新制度:令和3年(2021年)4月1日から令和5年(2023年)3月31日までの期間内に開始する各事業年度 (個人事業主については、令和4年から令和5年までの各年) 事業年度を1年という前提で、決算月で考えると、以下になります。 ・2022年2月決算まで:旧制度 ・2022年3月決算以降:新制度要件の変更を確認
続いて、要件の確認です。 旧制度は、少し複雑です。 新制度は、シンプルになりました。 税額控除の金額を確認
「前年度より給与等を増加」という計算方法が新旧で大きく変わりました。 旧制度です。 旧制度は、継続がキーワードです。 新制度です。 用語の定義を確認
用語に関しても確認しましょう。 ここでは、新制度のみに絞って記載いたします。(これから決算を迎えるため) ・雇用者給与等支給額:.適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される「全ての国内雇用者」に対する給与等の支給額をいいます。ほぼほぼ決算書の「給与」に該当。 ・控除対象雇用者給与等支給増加額:適用年度の「雇用者給与等支給額」から前事業年度の「雇用者給与等支給額」を控除した金額をいいます。 ※注意:雇用調整助成金等の助成金を受けている場合、雇用者給与等支給額から助成金の金額を差し引くことが求められます。 また、一定の要件を満たせば、『上乗せ』を利用することができます。 ①教育訓練費が前年度と比べて10%以上増加していること ②適用年度の終了の日までに経営力向上計画の認定を受けており、経営力向上計画に基づき経営力向上が確実に行われたことにつき証明がされていること給与を増額している場合、利用の検討を
所得拡大促進税制は、事前の手続きは特に必要ありません。(『上乗せ』利用を除く) 場合によっては、税制利用を見据えて、決算賞与金額を算定するのも良いかもしれません。 税額控除の金額としては大きい税制になります。 日頃の月次損益確認時から、給与に関しての増加額は確認頂きたいと思います。 経営支援、資金調達、相続、助成金に強い『みそら税理士法人』・『みそら税社会保険労務士法人』ブログ