こんにちは。廣岡会計事務所 廣岡でございます。
最近、お問い合わせが多い資本性ローンについて記載致します。
資本性ローン
新規事業・企業再生等に取り組む企業の財務体質強化のために、資本性資金(一定期間、元本を返済しなくてもよい資金。当然、期限が到来すれば返済が開始されます。)を借り入れる制度です。
資本性ローンのメリットとは・・・
? 一定期間、元本部分を返済しなくても良いため、当面の間、資金繰りが安定するという大きなメリットがあります。
? 資本性ローン部分を自己資本として看做すことになるため、「自己資本比率が上昇し、新規融資の可能性が高まる(呼び水効果)。」という効果もあります。あくまで新規融資を行なうかどうかは各金融機関の判断で行なうため、「新規融資の可能性が高まる」程度であり、効果は限定的であるかもしれません。
資本性ローンの制度概要
よく利用される株式会社 日本政策金融公庫の挑戦支援資本強化特例制度(資本性ローン)の制度について記載致します。(平成28年5月1日現在)
なお、当該制度の利用状況としては、平成25年度時点で3,075件、2,150億円の利用となっております。
出所:「財政制度等審議会 財政投融資分科会説明資料 財務省理財局(平成26年10月17日)」
国民生活事業
雇用の創出など地域経済の活性化に貢献できる事業に取組む会社が対象で、税金等の滞納がないことや『事業計画の提出』が条件となっています。
■ 『資金使途』設備資金及び長期運転資金
■ 『融資限度額』 4,000万円
■ 『融資期間』 5年1ヶ月以上 15年以内(期限一括償還)
■『 融資利率』 ご融資後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに見直します。
業績が赤字であれば0.9%と低金利ですが、黒字であれば黒字率及び融資期間に応じて3.2%?6.5%と金利が上昇致します。
■ 『担保保証人』 無担保・無保証人
■ 『その他』
・金融機関の債務者区分判定において自己資本とみなすことが可能です。
・法的倒産手続きにおいて、本融資は、すべての債務に劣後します。
中小企業事業
雇用の創出など地域経済の活性化に貢献できる事業、地域社会にとって不可欠な事業、技術力が高い事業に取り組む会社で『事業計画の提出』が条件となっています。
■ 『資金使途』 設備資金及び長期運転資金
■ 『融資限度額』 1社あたり3億円
■ 『融資期間』 5年1ヶ月、7年、10年、15年(期限一括償還)
■ 『融資利率』 ご融資後1年ごとに、直近決算の業績に応じて、貸付期間ごとに見直します。
なお、適用する融資制度(新事業にチャレンジするのか、企業再生を行なうのか)により利率は異なりますが、業績が赤字であれば0.4%と低金利ですが、黒字であれば黒字率及び融資期間に応じて3.2%?5.95%と金利が上昇致します。
■ 『担保保証人』 無担保・無保証人
■ 『その他』
・金融機関の債務者区分判定において自己資本とみなすことが可能です。
・法的倒産手続きにおいて、本融資は、すべての債務に劣後します。
≪参考≫【国民生活事業】と【中小企業事業】の違いとは
・【国民生活事業】の融資先は小規模企業が中心であり、半数近くは個人事業主であり、小口融資(1,000万円以下)が主体となっております。
・【中小企業事業】の融資先は比較的規模が大きい中小企業が中心であるため、必要資金額も大きくなり【国民生活事業】よりも融資金額が大きくなる傾向にあります。
資本性ローンの留意点
? 資本性ローンはあくまで「借入金」であるため、返済が必要です。元本返済を据え置く期間が借入金よりも長期であるため、一時的には資金繰りが改善しますが、最終的に返済が必要な点は通常の借入金と変わりません。
? 上記でも記載致しましたが、業績によって金利が変動致します。
? また、業績が回復した局面に適用される高い金利を回避するために、繰上げ返済をしようとしても原則、不可です。
つまり、どの制度(国民生活事業・中小企業事業)であっても『事業計画の策定は必須』であり、資金繰りが改善するだけでなく、自社の事業についてじっくりと考えることが出来る良い機会であると言えます。
弊所では資本性ローンを申請する際に必要な『事業計画のお手伝い』を行なっており、実績もありますので、お問い合わせ頂ければと思います。
⇒ 詳しくは弊所の融資支援実績(一例)をご覧下さい。
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