開業1年目に加入した小規模企業共済・倒産防止共済契約は、医療法人化後も引き継げますか?
開業1年目に加入した小規模企業共済・倒産防止共済契約は、医療法人化後も引き継げますか?
ご相談内容
当事務所の対応
小規模企業共済・倒産防止共済契約ともに、医療法人化後に引き継げません。
まず小規模企業共済は医療法人の役員では加入できないため、医療法人化してからでは無効になります。次に倒産防止共済は医療法人では加入要件を満たせないので、法人化後への引き継ぎは不可です。
しかし小規模企業共済に加入していると、個人事業を廃業する際に共済金(税法上は退職所得という扱い)を受け取れます。
所得税及び地方税が課せられる退職所得金額は、以下の方法で算出できます。
{収入金額(源泉徴収される前の金額)-退職所得控除}×1/2
また勤続年数の長さによって、以下のように計算が異なります。
- 勤続年数が20年以下であれば40万円×勤続年数(80万円未満であれば80万円)
- 20年超であれば800万円+70万円×(勤続年数–20年)
例えば医院開業から10年であれば、退職所得控除は10年×40万円=400万円です。
収入金額から400万円が控除され、残りの金額(退職所得控除額を上回る金額)の2分の1に対して、所得税及び地方税がかかります。
倒産防止共済は解約手当金として、税法上は事業所得の収入金額に算入されます。
医療法人化した後でも可能な小規模企業共済の代わりは、理事長が被保険者の長期保険に法人加入すれば、将来の退職金を準備可能です。保険期間が長期間にわたるため、もしもの死亡退職金・運転資金などに備えられます。
保険料のうち保険期間の当初6割相当期間は、1/2を定期保険料として損金に算入し、1/2前払保険料として資産に計上します。
退職時に解約返戻金を受け取った場合には、税法上では解約返戻金と前払保険料との差額は益金の額に算入されます。しかし法人から役員退職金を支給できるので、収益と費用を相殺可能です。
合理的な金額であれば、退職金は法人の損金として認められます。
詳細はぜひ弊社までご相談ください。