皆様、こんにちは。みそら税理士法人の天野でございます。
春の寒暖差が落ち着き、初夏の陽気が感じられる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。本記事では、4月13日に開幕した大阪・関西万博の入場券を企業が購入した際の、税務上の取り扱いについて解説いたします。
【1. 販売促進等を目的として取引先等に交付する場合】
企業が、取引先や仕入先等事業に関係のある者に対して、販売促進や広告宣伝を目的として大阪・関西万博の入場券のみを交付する場合、
その購入費用は「交際費等」には該当せず、「販売促進費」や「広告宣伝費」として処理することができます。
これは、国際博覧会が国際的な文化交流や日本の技術発信を目的とした国家的なプロジェクトであるという性格を考慮したものです。企業が入場券の購入という形で大阪・関西万博に参加・貢献しているとの企業イメージを与えることを意図しているものであって、企業イメージの向上という販売促進や広告宣伝等の一環と考えられます。
万博に出店していない企業についても、同様の理由で販売促進費等として処理できます。下請先や孫請先、グループ会社の取引先等に広く入場券を交付する場合も、企業グループのイメージ向上による販売促進や広告宣伝に該当すると考えられます。
なお、取引先等への交付時点で損金算入することが可能です。開幕前に入場券を交付した場合でも損金算入が可能です。
【2. 従業員の慰安、レクリエーション等を目的とする場合】
企業が、従業員の慰安やレクリエーション等を目的として従業員等に大阪・関西万博の入場券を交付する場合、その購入費用は「福利厚生費」として処理することができます。従業員の家族を含めて見学させる場合も同様に取り扱われます。
ただし、福利厚生費として処理するためには、一般的に以下の要件を満たす必要があると考えられます。
(福利厚生費としての要件)
・入場券を希望する全従業員を対象に(希望により家族分も含め)交付する。
・入場券は、購入企業において従業員またはその家族が使用することを条件に交付するものとし(転売や他人への譲渡は禁止)、従業員が実際に使用したことについて事後的に報告をさせる。
・購入企業は、交付を希望しない従業員に対し、入場券の代わりに金銭を給付する等の対応は行わない。
なお、原則として入場券を使用した時点で損金算入することになりますが、入場券を従業員に交付した時点で損金算入することとしても差し支えありません。
【3. 取引先等との接待等のために使用する場合】
企業が、取引先等との接待、供応、慰安、贈答といった行為のために大阪・関西万博の入場券を使用する場合、その購入費用は交際費に該当します。
交際費等の詳細な要件に関しては、国税庁のホームページ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5265.htm)や
過去の弊社のブログ記事(https://misora-tax.or.jp/entertainment-expenses/)にて、ご確認ください。
【4.まとめ】
大阪・関西万博の入場券購入費用は、その目的で税務上の取り扱いが大きく異なります。
万博に出店していない企業であっても、販売促進目的であれば販売促進費等として損金算入が可能です。
(ポイント)
・販売促進目的: 販売促進費等として損金算入可能
・従業員の慰安目的: 福利厚生費として損金算入可能
・接待目的: 交際費等に該当し、損金算入限度額の適用あり
また、いずれの処理区分の場合でも、適切な帳簿書類の保存が必要です。
特に交際費として処理する場合は、飲食等のあった年月日、参加者の氏名や名称、人数、費用額、飲食店等の名称・所在地、その他飲食等に要した費用であることを明らかにするために必要な事項等を記載した書類を保存する必要があります。
自社の入場券購入の目的を明確にし、適切な会計処理と帳簿書類の保存を行うようにしてください。
ご不明な点がございましたら、お気軽に当税理士法人までお問い合わせください。
【あとがき】
大阪・関西万博は、2025年4月13日から10月13日まで大阪・夢洲で開催される国際博覧会です。日本の最新技術や文化を国内外に発信する大規模イベントであり、会場には多数のパビリオンや企業展示、文化プログラムが予定されています。
最新技術の展示や多彩な文化プログラムが楽しめる貴重な機会となっています。
皆様もぜひこの機会に、社員の皆様とご一緒に足を運んでみてはいかがでしょうか。
※本記事は、投稿日時点での法令等に基づいて作成されていますが、今後の税制改正等により取り扱いが変更される可能性があります。
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