こんにちは。みそら税理士法人の森です。
心せわしい年の暮れを迎えましたが、いかがお過ごしでしょうか?
今回は源泉所得税についてお話をしていきます。
給料の源泉徴収をご存じの方は多いと思いますが、事業者が支払いをする時に源泉徴収が必要なものが大別して以下の4種類あります。
①給与・賞与等の源泉所得税
②配当金の源泉所得税
③報酬・料金等の源泉所得税
④非居住者の源泉所得税
【内容】
従業員等に給料や賞与等を支払った時に、支払った金額から源泉徴収税額表に応じた源泉所得税を計算し、支払金額から源泉徴収します。
「賞与に対する源泉徴収税額表」 国税庁HP
【納期限】
納付期限は給与等を支払った月の翌月10日となります。
ただし、納期の特例を受けている場合の納付期限は、1~6月までに支払った給与等については7月10日まで、7~12月までに支払った給与等については翌年1月20日までとなります。
給与等の納付書により納付します。
【内容】
法人が配当金を支払う時に、配当額から以下の金額を源泉徴収します。
・非上場会社等の配当 配当金額の20.42%
・上場会社等の配当 配当金額の15.315%
【納期限】
納付期限は配当金を支払った月の翌月10日となります。
給与等に関する納期の特例を受けていたとしても、支払った月の翌月10日が納付期限となるため注意が必要です。
配当等の専用の納付書により納付しますので、税務署より取り寄せる必要があります。
【内容】
個人(一部法人あり)に対して支払う以下の報酬額の10.21%(同一人に対し1回に支払われる金額が100万円を超える場合には、その超える部分については20.42%)を源泉徴収します。
① 原稿、写真、作曲、講演等に対する報酬
② 弁護士、税理士等に対する報酬
③ 社会保険診療報酬
④ プロスポーツ選手、競馬の騎手等に対する報酬
⑤ ラジオ放送、テレビ放送の出演料
⑥ ナイトクラブ等のコンパニオン等に対する報酬
⑦ プロ野球選手の契約金
⑧ クイズ番組、競走馬の馬主の賞金
詳細「源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」国税庁HP
【納期限】
納付期限は報酬・料金等を支払った月の翌月10日となります。
給与等に関する納期の特例を受けていたとしても、支払った月の翌月10日が納付期限となるため注意が必要です。
ただし、②の報酬のみ納期の特例を受けている場合、納期の特例の納期が納期限となります。
報酬・料金等の専用の納付書により納付しますので、税務署より取り寄せる必要があります。(②の報酬のみ、給与等の納付書により納付)
【内容】
非居住者に対して支払われた以下の支払に一定の率を乗じた金額を源泉徴収します。
① 国内の土地等の譲渡による所得 10.21%
② 不動産の賃貸料及び人的役務の提供事業による所得等 20.42%
詳細「国内源泉所得等の範囲」国税庁HP
非居住者とは外国人のことを指す訳ではなく、日本に住所(本拠)を有さず、日本に1年以上の居所(本拠ではないが現実に居住している場所)を有しない者のことを指します。
【納期限】
納付期限は、非居住者に支払いをした月の翌月10日となります。
給与等に関する納期の特例を受けていたとしても、支払った月の翌月10日が納付期限となるため注意が必要です。
非居住者の専用の納付書により納付しますので、税務署より取り寄せる必要があります。
【内容】
源泉所得税を納期限までに納付していない場合、源泉所得税の10%又は5%の不納付加算税が追加で徴収されます。
①納期限後に税務署等から納付・納税の告知があった場合 10%
②納期限後に納税等の告知によらず、自ら納付した場合 5%
不納付加算税とは別に延滞税も徴収されます。
【不納付加算税の不適用】
源泉所得税を納期限から1か月以内に納付し、かつその納付前1年間に、他の源泉所得税を納期限後に納付したことがないと認められる場合には不納付加算税は徴収されません。
延滞税については上記の不適用はありません。
以上、源泉所得税の概要をご紹介しました。
基本的には支払った月の翌月10日が納期限となり、期限までの期間が短く納付し忘れてしまうことがよくあります。
特に配当金の支払や非居住者に対する国内土地等の譲渡のように金額が大きくなりやすいものは、忘れてしまうと多額な不納付加算税や延滞税が発生してしまいますので注意が必要です。
是非、自身が行う事業活動において源泉徴収が必要な支払があるかを把握していただき、納付期限までに納付出来るようにしていただければと思います。
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2022.12.14 カテゴリ:税務/会計