相続登記・住所変更登記 申請の義務化について|神戸の税理士【みそら税理士法人】

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神戸
2021年2月16日

相続登記・住所変更登記 申請の義務化について


こんにちは。みそら税理士法人 松原でございます。

2月10日に、法務大臣の諮問機関である法制審議会は、相続や住所・氏名を変更した時に不動産の登記

を義務付ける法改正案を答申しました。

これを受けて、政府は3月にも改正案を閣議決定、今国会で成立を目指し、2023年度にも改正法を施行

する予定です。

改正の概要について、背景を踏まえながらお伝えしたいと思います。

相続登記・住所変更登記の義務化 違反なら過料

上記の法改正案における最大のトピックスは、

 

・相続による取得を知ってから「3年以内」に登記申請をしなければならない

→ 違反すれば10万円以下の過料

・住所・氏名変更の場合は「2年以内」に登記申請をしなければならない

 違反すれば5万円以下の過料

 

という、罰則規定のある相続登記等の義務化が、規定されることです。

その背景には、空き家問題と所有者不明土地問題の存在があります。

この20年間で、空き家の数は倍増

近年、全国的に所有者が見つからない空き家問題が注目されていますが、別荘等の二次的住宅や賃貸又は

売却予定の建物などを除いた空き家は、平成10年(約182万戸)から平成30年(約348万戸)までの20年

間で約1.9倍に増加しています。(総務省「平成30年住宅・土地統計調査」)

本来空き家を管理すべき所有者が見つからないのは、相続登記を何らかの理由で行わずに放置したために、

登記が所有者の実態を示していないことが大きな原因とされています。

 

空き家は、防災上、衛生上、景観上などの点で地域に悪影響を及ぼすため、空き家の増加が社会問題と

なっています。

「所有者不明土地」とは

「所有者不明土地」とは、所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法(所有者不明土地法)の

定義では、「相当な努力が払われたと認められるものとして政令で定める方法により探索を行ってもなお

その所有者の全部又は一部を確知することができない一筆の土地」のことをいいます。

 

2017年の所有者不明土地問題研究会(一般財団法人国土計画協会)によれば、

「2016年(平成28年)時点の登記簿上の所有者の所在が不明な土地は、全体の約20%にのぼり、その土地

面積は、地籍調査を活用した推計で約410万haあり、九州本島(土地面積:約367万ha)以上に存在。

また、所有者不明土地による経済的損失は、2016年単年で約1,800億円、2040年までの所有者不明土地面

積の増加等を考慮すると、2016年から2040年の累積では、少なくとも約6兆円と試算。」

という、衝撃的な報告がされました。

 

このような所有者不明土地の主な発生原因としては、

① 相続発生後も、死亡した者が登記記録上の所有者のまま(相続未登記)    約66.7%

② 住所が変更されているが、登記記録に反映されていない(住所変更未登記)  約32.4%

(国土交通省「平成28年度地籍調査における土地所有者等に関する調査」)

となっています。

まとめ

今回の法改正案では、上記の相続登記・住所変更登記の義務化以外にも、

・相続人の登記手続きの負担を減らすため、相続人のうち一人の申し出でも登記ができるようにする。

・相続開始後、10年間経過しても遺産分割協議が整わない場合には、法定相続分で土地を分割できる仕組み

を設け、共有状態とならないようにする。

・行政が住民基本台帳ネットワークシステムを活用、被相続人を把握し登記に反映するとともに、被相続人

名義の不動産の一覧を証明書として相続人に発行できる仕組みを設ける。

・建物が無いなどの条件を満たし、10年分の管理費相当額を納めれば、相続した不要な土地の国有地化を

認める制度を設ける。

といった、所有者不明土地・建物の増加を防止する観点からの施策が盛り込まれています。

 

また、すでに所有者不明となっている土地・建物についても、有効活用の観点から、民法の財産管理制度を

見直し、裁判所が管理命令を出し管理人を選定することにより、不明の所有者に代わって売却も可能とする

施策が盛り込まれています。

(売却代金については、所有者が判明した場合に備えて供託、供託金が時効消滅した後は国庫帰属。)

 

以上の事柄は、執筆時点では現在進行形の話なので、変更されることも予想されます。

今後の動向についても、引き続き注目していきたいと思います。

 

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