「連結納税制度」の廃止と「グループ通算制度」の新設|神戸の税理士【みそら税理士法人】

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神戸
2020年10月26日

「連結納税制度」の廃止と「グループ通算制度」の新設


こんにちは、みそら税理士法人の岡村です。

本日は、連結納税制度の廃止と、これに代わる新しい制度としてのグループ通算制度についてお話ししたいと思います。

「連結納税制度」の廃止と「グループ通算制度」の新設

令和4年4月1日以後に開始する事業年度から

「連結納税制度」が廃止され、

これに代わる新しい制度として

「グループ通算制度」が開始されます。

 

「グループ通算制度」新設の背景

「連結納税制度」とは

親法人を頂点とする100%親子関係のあるすべての子法人の

親法人・子法人のグループを1つの納税主体とみなして

親法人及びすべての子法人の黒字・赤字を合計して

申告納税する制度です。

 

グループ内に経営再建中の赤字の法人がある場合や

新規事業立ち上げの先行投資のために、当面の赤字が見込まれる会社がある場合など

この制度を上手に使えば、グループ全体で損益を通算できるため

納税額を抑えることが可能な便利な制度です。

しかし、実際は

①連結申告書の作成が、非常に煩雑で難解

②開始・加入時の時価評価及び欠損金の切り捨て

などの理由から、

連結納税制度を利用する会社の数は伸び悩んでいました。

 

こういった中、

「連結納税制度」の内容をシンプルにして、より使いやすい制度として

「連結納税制度」を廃止して、「グループ通算制度」が新設されることとなりました。

 

本日は、改正内容の

①個別申告方式

②開始・加入時の時価評価及び欠損金の切り捨て

について見ていきたいと思います。

 

個別申告方式

今回の最大の改正点です。

「連結納税制度」では、下記のように

グループ全体の損益を通算して、連結申告書にて

グループ一体として申告納税を行っておりました。

(所得)

親法人P  400

子法人A  100

子法人B  ▲50

子法人C ▲250

合計     200×35%=70

 

※税率を35%と仮定した場合の税額算出のイメージです

 

「グループ通算制度」では

子法人Bの▲50と子法人Cの▲250の合計▲300を

親法人Pと子法人Aの所得金額に応じて按分し、

 

親法人P(400+▲240)×35%=56

子法人A(100+ ▲60)×35%=14

 

それぞれの会社が個別に申告と納税を行います。

これが「個別申告方式」です。

 

そのため、「連結納税制度」で必要であった

煩雑な連結申告書の作成は不要となりました。

 

開始・加入時の時価評価及び欠損金の切り捨て

「連結納税制度」では

子法人は特定連結子法人(※1)に該当する場合を除いて、

時価評価が必要となり、

開始・加入前の繰越欠損金が切り捨てられる

(※1)開始時に5年超の支配関係のある法人、グループ内の新設法人など

 

という制度でしたが、

「グループ通算制度」においては

 

開始・加入時に親法人との間で100%親子関係が継続することが見込まれる場合は

時価評価は不要になり、

開始・加入前の繰越欠損金の切り捨ても行わない

 

となりました。

 

時価評価及び繰越欠損金の切り捨てが行われるケースは、

開始・加入時に子法人を売却することが見込まれている場合などが想定されますが、

実務上、かなり限られたケースになると思います。

 

グループ通算制度の採用

冒頭でお話させていただきましたとおり、

グループ内に経営再建中の赤字の法人がある場合や

新規事業立ち上げの先行投資のために、当面の赤字が見込まれる会社がある場合、

または、このような会社のM&Aを検討されている場合など

この制度を上手に使えば、

グループ全体での納税額を抑えることできる便利な制度です。

 

令和4年4月1日からの「グループ通算制度」の開始に向けて

制度の採用をご検討頂ければと存じます。

 

 

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